FLOOR 12

12Fに辿り着いたあゆみを迎えたのは、よく冷えてそうな金属鎧を身に纏ったハイラガード衛士だった。
すがるような様子で近付いてきた彼から感じる冷気に思わず距離を取りつつも、とりあえず話を聞く事にした。

一応、公宮でも探索を行ってはいるらしい。
だが目的の氷花は、万全を期して昼に探索しているうちは全く見つからないという。
その衛士の持つ腕時計は午後6時を迎えており、少し休んだ後に帰るとの事だった。

「まあ、冒険者には昼も夜も関係ありませんよね、頑張って下さい」
「えー、まあ……はい」
実際、昼も夜も関係なく探索して早く世界樹を登りたい、というのは事実であった。
衛士に言われるまでもなく、あゆみは氷の花を探し始める……。

この階からスレイプニルとかいう恐ろしい敵が出現する
こいつのスキルである踏み荒らしは、少人数キラーの多段攻撃である。
100程度のダメージが3~4回飛んでくるので、ライフトレードで一撃で仕留めなければ勝ち目は無い。
ダメージ床がなく能動的にHPを減らすのが困難な階層である以上、先制でもとらない限りESCAPE安定。

こいつも基本的にはESCAPE安定。
多段攻撃はないとはいえ一撃が強力で、HPが高いので一撃で倒す事もかなわない。

… … …

首の多い魔物を回避しながら探索を続けていると、道の突き当たりにさしかかった。
引き返そうとしたが、妖しく光る小さいものに目を奪われる。

「あれ?これってもしかして……」
ぽつんと咲く一輪の花を触ってみるととても冷たく、あゆみはこれを「氷の花」と見なすことにした。

「写真とか絵くらいもらっておけば良かった」
でも恐らくこれで間違いないだろう、と確信を持って花を摘む。
氷の花はもう辺りには見当たらず、あと3つは別の場所で探す必要があるようだ。

… … …

はさみカブトとかいう鬱陶しい敵も出て来るようになった。
こいつはそれほど確率は高くないとはいえ、いらつく羽音で頭封じを狙ってくる。
先んじて腕封じを入れておけば……って書こうとしたけど、この画像はなんか腕封じ入れてるけど腕封じじゃ阻止できなかった気がする。
結局、頭技と腕技のどっちだか忘れた。つらい。

… … …

順調に氷の花を見つけていくあゆみだったが、数々の強敵と対峙しているうちに限界を感じてきていた。
「ねえ、もうちょっと強い黒魔術って使えないの?」
返事を返さないブック・オブ・シャドウズに声を掛けていたら、不審に思った冒険者ギルド長に話しかけられた。
「一体何をやっているんだ」
「それが……」
駄目もとで悩みを打ち明けるあゆみ。
どうせこの人は修練を続けろだとか、そういった事を言ってくる人だと思っていたのだ。
だが、彼女はうんうんとひとしきり頷いた後、意外な回答をしてきた。

「そんな時は一度、思い切って休んでみるといい」
「え?」
「その方がかえって良い結果をもたらすこともある。今行き詰まっているのなら、試してみるといいだろう。無駄に倒れぬよう注意するんだな。」

まあそんなわけでライフトレードLv20にしたらえらいことになりましてね。
威力は約3倍になり、消費TPも3倍に。
おかげで雑魚戦はこれさえぶっぱすればだいぶ余裕に。
しかし、TP効率は変わっていないわけで、ボス戦での火力不足の解決にはなってないんだよなあ……。

… … …

無事に氷の花を4つ入手したあゆみは、それを公宮へ提出した。
少し後、いまいち冴えない大臣の代わりにやってきたのは、あゆみも初めて見る公女であった。

「え、あ、は、はい」
大臣とは比較にならないほどの凄そうなオーラを感じ、やや尻込みしつつも話を聞く事に。
そして、あゆみにとって衝撃の事実が明かされることとなった。

「諸王の聖杯は空飛ぶ城の中心にあり、その聖杯はいかなる病をも癒やす不思議な力が備わっていると言われています……」
ここに来て登場した、諸王の聖杯という言葉。
もとはといえばあゆみは、この街に初めて辿り着いた時耳にした噂話に出てきた「諸王の聖杯」を求めて世界樹を登っているのだ。
そして、その効力を発揮する為に必要な素材を、今まで集めさせられていたのだ。

「あとは、空飛ぶ城というのを見つければいいんですよね!」
更に言えば、諸王の聖杯を見つけてくればよい。
だが、あゆみは無意識のうちに「聖杯を見つけてくる」という言葉を避けていた。

それは「病に倒れる公王の為」に、諸王の聖杯を使うわけにはいかないからである。

… … …

公女の話を聞き、改めて探索を進める気持ちを新たにしたあゆみ。
そこに現れたのはエスバットの1人、アーテリンデだった。

「は?」
呆気にとられるあゆみ。
もちろん、唐突にそんな事を言われて諦めるわけにもいかない。
得意げにそう返すと、少女はその返答を予想していたようで落ち着いた様子で応じた。

恐ろしい魔物ならもう何体も黒魔術で倒してきたあゆみ。
何を今更、と思った。
真に恐ろしいのは人間である事を知っているのだから。

12Fクリア。
スレイプニルとか強い奴は出てきたが、ESCAPEがうまいこと決まったので死亡回数は少なかった。
戦える敵、戦えない敵を見極めるのってほんと大事だよ。

… … …

このあとTPブーストをLv20にしたうえで、アラクネーにリベンジしてみたんだけど全然削れなかった。
Lvが足りないなって思った。
でもブルチャージ(次のターンまで被ダメージダウン、与ダメージアップ)がライフトレードに乗る事が分かったのは大きいか。
こいつの高いHPを削りきれるかは、ライフトレードがTEC上昇でどれくらい威力が上がるかにかかっている。Lv70引退Lv70で倒せるかどうか……。

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篠崎あゆみ x1(累計:450)
アラクネーに貫かれた篠崎あゆみ x1(累計:451)