FLOOR 1

「あれ、ここは……」

いつの間にか宿屋に戻されている事に気付くあゆみ。
まるで樹海に挑む前の時間まで戻されたようだ。
だが、初めて対峙する樹海の獣に負わされた痛みは、紛れもなく現実のものだという確信はあった。
これが、暗黒の書「ブック・オブ・シャドウズ」の力だというのか……。

というわけで篠崎あゆみ1人旅を始めました。
まずはどうにかして敵を倒す必要がありますが、Lv1のステータス・技では非常に厳しいです。
敵の編成から選ぶ必要があります。

入り口付近に出現する敵編成:
森マイマイx1(前衛)・針ネズミx1(後衛)→死
針ネズミx2→死
ひっかきモグラx2→死
森マイマイx3(珍しい)→死
森マイマイx2→最も勝ち筋のあるパターン。
だが、2体とも堅殻を使ってくる場合、病毒を入れる事が可能だが削りきる前に通常攻撃が集中して死ぬ。
森マイマイx2を相手に先手を取った上で、うまい具合に堅殻を使ってくれれば3ターン分の毒ダメージが蓄積して撃破する事ができる。

具体的には、森マイマイx2の編成に勝つために、まず先手を取った上で以下の条件を満たす必要がある。
・2ターン目に森マイマイが両方とも堅殻を使う
・2ターン目に森マイマイの片方が堅殻を使い、3ターン目に森マイマイのもう片方が堅殻を使う
前者の場合は、3ターン目の2体の攻撃をDEFENCEで耐えればOK。
後者の場合は、2ターン目と3ターン目にメディカを使用すれば耐えられる。

そんな好条件をそうそう満たせるわけもなく。
Lv2に上がったのは、198戦目の事であった。

余談だが、堅殻を使っていない森マイマイが堅殻を使う回数を途中からカウントしてみたところ、
1ターン目に堅殻:45/101
2ターン目に堅殻:3/19
というデータがとれた。
2ターン目の方は回数が少なくて当てにはならないと思うが、とにかく2ターン目に堅殻を使って来る確率は体感で低いと分かる。

ちなみに、病毒の呪言Lv2では森マイマイを確2にすることはできないが、乱2にすることはできる。
これだけでもLv1の頃と比べれば格段に楽になる。
最後に残った1体をATTACKで削る事も出来るし。

病毒の呪言がLv3になると、ひっかきモグラまで確2にできる。
モグラについては先制を取れた時に限るが。

病毒の呪言がLv5になると、ようやく森マイマイ・針ネズミ・ひっかきモグラを確1にできる。
これで世界が変わる。

病毒の呪言のLv上げは一旦終わりにして、次はHPブーストに振り始めた。

Lv8にもなると、そろそろミッション達成を視野に入れて行動を始める。
大半の敵(針ネズミx2やひっかきモグラx2、クローラー)はまともに戦うと死ぬので、ESCAPEを多用。
ESCAPEコマンドは、生存中のプレイヤーが少ないほど成功しやすい傾向にある(と個人的には思っている)ので、その補正によりESCAPEはそう難しくない。
少なくともミッション完了までに使用したESCAPEコマンドは、一度も失敗しなかった。
恐らく1人旅故のレベル差も影響しているのではないかと思う。

入国試験も半ばにさしかかった所で、突如巨大な鹿が徘徊を始める。
しかし、あゆみには目もくれず、ただ徘徊しているだけだ。

「何よあんなの、ヨシカズの方が余程怖いわ」

そう自分に言い聞かせ、出口へ急ぐあゆみ。 天神小で培った逃げ足を活かして、勝ち目のない獣からは逃げつつ進んでいった。

だが、命からがら帰還したあゆみを待っていたのは、絶望的な一言であった。

「そ、そんな……ひどい!」
「またあんな恐ろしい所に行けって言うの!?」

いくら悪態をつこうと、衛士の態度が変わることはない。
仕方なく、再度準備を調えて出発しようと思ったのだが、ある事に気が付いた。
所持金が底を突いているのだ。

ふと、探索中の事を思い出す。
「そういえば、樹海の中に大勢の犠牲者がいたっけ……」

魔が差したのだ。
ちょっと魔が差しただけ。

… … …

その屍体達は、暗黒の書「ブック・オブ・シャドウズ」に頼んだら簡単に集まった。
あとは売れそうなものを剥ぎ取り、お金に換えるだけ。
これで、当面の生活費は賄えそうだ……。

… … …

その後、無事にミッションを完遂し、晴れてハイラガード公国民となったあゆみ。
一方であゆみの心の中には、魔が差したとは言え、多くの屍体を蹂躙した罪悪感が残っていた。

「屍体祭り」は、まだ始まったばかりだ。

… … …

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