FLOOR 1 - 2

獣の群れから筆舌に尽くしがたい苦痛を幾度となく味わいつつも、ミッションを終え晴れてハイラガード公国民となったあゆみ。
街の「依頼」が受けられるようになる、「糸」が買えるようになる、等の案内を受けた。
衛士を別れた後、一人嘆息する。
確かに、意識が途切れたかと思えば何事もなかったように宿屋にいるし、傷もすっかり治っている。
これほど都合の良い話はないが、それでも疑問に思わずにはいられない事があった。

「どうせなら痛みも消してくれたっていいのに、性格悪いのよ、この本」

あゆみを嘲るかの如く、ブック・オブ・シャドウズは表紙に不気味な笑みを浮かべた。

ミッションを追えたので、いよいよ2Fを目指して探索を進めていく。
このあたりの要注意モンスターといえば、何よりクローラー。
乱1で殺しにかかってくる。でも倒せる事もあるので、メディカ連打で祈ればOKだ。

こんな感じの編成も出て来るし、もうまともに戦うのは間違い。
ESCAPEが体感8割以上の確率で決まるので、「倒せる編成」を引くまでESCAPEするのが正解。
そもそも、まともに戦えないし。

「あ、あった、階段」

その瞬間、ブック・オブ・シャドウズが小刻みに振動し、呻き声を上げる。
今度は何かと身構えるものの、疑問はすぐに氷解する。
あゆみの脳内に思念が流れ込んでくる。
それは、踏破したフロアを自在に移動できる黒魔術の使い方だった。

「以心伝心ってわけね」

何だかんだで本とは仲良しになりつつある、あゆみであった。

街に戻ると大臣からの呼び出しがあり、料理店の経営を頼まれる。
一刻も早く聖杯を手に入れにいかなければならないのに、どうしてそんな事をしないといけないのか。
すぐに断ろうとしたものの、とにかく見にいってきて欲しいとごり押されてしまう。

半ば強引に案内された店の名前を見て、はっとした。

「丹羽って、まさか……久遠…先生の?」

従業員に尋ねたところ、何の事だか、といった顔をされる。
しかし、どうしても偶然とは思えなかったあゆみは、経営を引き受ける事にしたのだった。

… … …

いよいよ樹海の2Fに上がったあゆみだったが、恐竜のような獣の出現に戦慄する。

「何よ、ヨシカズが堂々としてるようなもんじゃない……」
虚勢を張るあゆみであった。

… … …

FLOOR 2へ続く……

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