FLOOR 20

あゆみが再び20階に訪れると、決まり文句のように翼人が告げてくる。
「これでいいの?」
公女から託されたいにしえの飾りを見せる。
すると目の前の翼人は驚きの声を上げる。
「星の定めよ!この者は確かに、我らが待った者かもしれぬ!」

「それで結局、貴方は何者なの?」

カナーンと名乗った翼人によると、この先に天空の城へと続く道は確かに存在するという。
しかし、そこに辿り着く為には天空の女王と呼ばれている魔物を倒す必要があるようだった。
「要するに、キマイラとか魔人みたいな感じね」
理解したあゆみはカナーンと別れ、探索を開始した。

… … …

敵編成が殺意に満ちている。
画像は、鳥がスキルを使ってくれば大丈夫だろと思ったら普通に通常攻撃が飛んで来て瞬殺されたところ。
この場合、1ターン目でDEFENCE→2ターン目でライフトレードをしようとしても、もし鳥がスキルを使って来た場合は中途半端にHPを削られた状態になるので、どちらにしろ倒せないのだ。

2択を迫っているようでいて、実際はどちらも大差無い運ゲーという恐ろしい編成。
多分ESCAPEが一番まし。

そしてこいつの存在である。
石化の眼光を連発してくるので、20Fに着いてからはアクセサリは石化耐性のもの固定になる。
でも石化耐性アクセサリは、石化を使ってくるこいつを倒さないと売りに出されない。
HPが高いので病毒でも数ターンかかる。
ひどい。

希少種2体とか勘弁してくれって感じだし、先読みライフトレードでどうにかするしかない。

… … …

高速で飛ぶ鳥に怯え、金色の鳥に追いかけ回され、蛙が落下していくのを見届けつつも順調に探索を進めていくあゆみ。
周囲に敵のいない、開けた空間に辿り着いた。
「はぁ……ちょっと休もっと」

小休止を終え、再び出発しようとしたその時。
あゆみでも分かるくらい強烈な殺気を感じ、天を仰ぐ。
「なっ……何あれ!?」

極彩色の巨大な翼を持った魔物が、天から降りてきたのだ。
その存在は、しばらく飛び回った後ある一点に留まり、じっと何かを待っているようだった。
「あれが天空の女王……?」
天空の城に辿り着くには、天空の女王を退けないといけない、とカナーンは言っていた。
「でもここからじゃジャンプでもしないと向こう側に辿り着けないし……岸沼君ならぴょーんと跳んでいけるのかな」
他に道があるのではないかと思い、探索に戻る事にした。

ここって北西探索しなくてもフロアジャンピング解禁されるようだ。
ぬるすぎないか。

… … …

下り階段を発見したので進んでみたところ、今まで辿り着けなかった場所へ繋がっている事が分かった。
「これは……!ここを探索してたら辿り着けるかもしれない!」
あゆみは意気込んだ。

正直このあたりの編成、まともに相手していると頭がおかしくなる。
マッドキャタピラに至っては一度も倒した事がない事が、20階をクリアしたあとで分かった。

じゃあHP減らして開幕ライフトレードすれば良いんじゃないかと思えば……。

これだよ。
幸いこの時は逃げてくれたけど。

凶悪な獣達の襲撃をやり過ごし、19階の中央まで辿り着いた所で、カナーンと名乗る翼人が姿を現した。

「飛べるんだから、連れて行ってくれれば良かったのに」
カナーンは文句を言うあゆみには聞く耳を持たず、空の民について、天空の女王についての情報を捲し立ててきた……。
あまり興味はないので、内心早く終わって欲しいと思っていた。

「それで、天空の女王はこの先にいるの?」

「分かった、じゃあ行ってくる!」
「汝に、父なる太陽、母なる月の加護があらん事を……」

そして、遂にあゆみは天空の女王と対峙した。

見ているだけで気が狂いそうな程の殺気を放つ、圧倒的な存在があゆみを見下ろしていた。

「うう……おかしくなりそう……でも!」
あゆみは首を振って何とか正気を保ちつつ、ブック・オブ・シャドウズを構える。
「諸王の聖杯は私のものなんだから!」

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