「ここは……え、紅葉!?」
突如変化した迷宮の光景に驚きつつも、天神小で地震が起きたようなものだと自分に言い聞かせ、納得するあゆみであった。
「ここは……え、紅葉!?」
突如変化した迷宮の光景に驚きつつも、天神小で地震が起きたようなものだと自分に言い聞かせ、納得するあゆみであった。
少し歩いた所で妖しい柱を見たと同時に、珍しく樹海内で人に出会った。
生きている人に出会ったのは久しぶりである。
以前出会った赤毛の男とはまた違った方向ではあるが、熟練冒険者の風格を感じた。
今し方達成した偉業を得意げに語るあゆみ。
「あのキマイラを一人で倒してきたの?」
急に顔色が変わる少女。
「え?は、はい」
「…………」
少しの沈黙。
少女は再び明るい声で、目の前の柱の説明をしてくれた。
「あれが気になるんでしょ?教えてあげる」
その笑顔の裏に何か真意が隠されているような……その事ばかりが気になり、樹海磁軸という便利なものらしいという事しか頭に入らなかった。
樹海磁軸に触れて無事に街に戻ってくることができたあゆみは、一応大公宮にも伝えておく事にした。
宿屋で休んだ後すぐに先に進もうとしていたところで、先程の少女に「公宮で報酬を受け取っておいたら?」と言われたのが主な理由だった。
「そなたらの見事な働き、この老体は感謝しておるぞ!」
「そなたらって……もしかしてこいつカウントされてたり」
怪訝な顔でブック・オブ・シャドウズを見つめるあゆみ。
「では、吉報を待つぞい」
やはりこの老体はぼけているのだと思う。
というわけで遂に2層に突入。
磁軸周辺はキノコがよく出て来るものの、先制して毒を入れられるので問題はない。
毒ダメージは400出るので、一撃で倒す事ができる。
ただし麻痺を使って来るので、毒で一掃できない編成(前列後列に別れている場合など)の事を考慮して、アクセサリで麻痺完全耐性をつけておくと安定する。
確かキノコを倒して入手できる素材で購入できるようになるはず。
こんな序盤で完全耐性が手に入るとか太っ腹である。
道の突き当たりに辿り着いたあゆみは、何やら異臭異臭がするのを感じた。
とはいえ、人間の死体の臭いよりは遙かにマシであると判断し、悪臭を堪えつつも調べてみることにした。
「うう、くさぁい……」
あまりの悪臭に涙が出てくる。
が、涙の理由は悪臭だけではない。
「なんでこんな事してるんだろ……ひあっ!?」
涙で霞む視界が、木々より飛び出してきた巨体を捉えた。
ジャイアントモアちゃん!
HPは500程度。毒2発分である。
しかもこのときは毒ダメージ2倍が残っていたので、一撃で倒してしまった。
ヘヴィスタンプの威力は68程度。1体なら余裕である。
戦闘を終えて周囲を見渡してみると、素材になりそうな木は殆どバラバラに砕けていた。
かろうじて形を保っていたモノを拾い上げ、逃げるようにその場を後にした。
「うえっ……えほっ、ごほ」
嗚咽しながらも、いそいそとバックパックに素材をしまった。
問題はこのエリマキ。
毒で倒そうとすると、画像の通りまず確実に死んでしまう。
DEFENCEして攻撃を受けてHPを減らしてからの、ライフトレードが正解。
ライフトレードは本当に強い。
樹海を進んでいると、風船のような敵を発見した。
強くなった黒魔術を駆使して快進撃を進めていたあゆみには、さしたる問題ではないように思えた。
「何よ、今更風船なんて余裕よ」
まあ大丈夫じゃなかったんだけど。
しかも現時点で倒す必要は特にないので、この後はスルーすることに。
でもこの時点でもだいぶ良い所まではいけた。
キマイラ戦と同様、堅殻とメディカⅡがあれば十分攻撃を耐える事はできる。
無属性攻撃であるライフトレードなら、回り始めることもないし。
毒ダメージで大半を削ったうえでライフトレードを何発か放ってみたけど、残念ながら及ばずだったんだよなあ……。
6Fの雑魚戦は、何度も言うがライフトレードの重要度が高い。
エリマキトカゲが現れたら、まず使う羽目になるといっても過言では無い。
DEFENCE→ライフトレードは基本戦術。
ちなみに石像にも毒は入る。それでいいのか石像。
「着いたぁ」
もうすっかり探索にも慣れてきたあゆみ。
樹海では、慢心が命取りだ。