FLOOR 11

遺跡の魔物を退治するのは早々に諦め、11Fにでも行こうかと思っていたあゆみに、衛士が声を掛けてきた。
「大臣があなたをお呼びになっております、重要な用があるそうです」

「氷の花?」
以前拾いに行った火トカゲの羽毛と同じく、またしても公宮からのおつかいである。
少し上の階に点在するという氷の花を集めてきて欲しいとの事だ。
「私、急いで世界樹を登らないといけないのに。薬の材料集めなら衛士でもできるんじゃあ……」
「では、吉報を待つぞい」
「もー!」

この素材収集があゆみにとっても意味のあるものだと気付く事になるのは、もう少し先の話である。

… … …

階段を上ると、そこは雪国だった。

「な、なによこれ、寒っ……くない?」
防寒対策など何もしていないはずのあゆみだったが、何故か寒さを感じない。
こういう不自然な事が起きた場合、原因は大抵……

「ほんと、便利な本ね」
ブック・オブ・シャドウズを眺めながら、一家に一冊欲しいかも……、と思いかけてやめた。

… … …

いよいよ3層の探索開始である。
スノーゴーストの攻撃はTEC依存のため、大した事のないダメージで済む。
この編成だと病毒1発で終わるから楽でいいんだけど、注意すべきは前後列に分かれている場合。
今作のスノーゴーストは1匹にすると巨大化するんだけど、最短で2ターン目の終わりには巨大化する場合がある。
通常攻撃でも、技を使われても130程度のダメージを喰らい危険。

この編成は前後列に分かれているとはいえボーナス。
病毒2回で終了である。
まあこんなぬるい編成そうそうないんだけど。

このモリヤンマが問題。
ただでさえ攻撃力が高いのに封じ効果つきの攻撃をしてくる。
この編成ならまだぎりぎり病毒でいけるが、もっと敵が増えてきたらDEFENCEしてHPを減らしてからのライフトレードを狙った方が確実。
HPが大した事無いのが幸いである。

前後で列が分かれている場合、その攻撃力の都合上スノーゴーストよりも優先して倒す必要があったりして、スノーゴーストの巨大化を招いたりする事もあるから怖い。

… … …

慣れない雪道を進んでいると、白くて分かりづらかったが大きい狼の姿を確認できた。

「うわ、やばそう……でもまだ気付いてないし、あっ気付かれた!?」
転びそうになりながらも、雪道を駆けて距離を取り、何とか逃げ切った。
「突然背後に来たりしないぶん、まだましよ」

突き当たりにさしかかった所で、今度は小さい雪だるまを発見する。

「これ……ほんとに雪だるまよね」
流石に疑心暗鬼になるあゆみ。
だがこつこつと叩いてはみたものの、探索を始めてから何度も戦った雪だるまの魔物のような気配は感じられない。
周りに魔物の気配がないので、しばらく休む事にした。

気力も十分回復し、頃合いだと思って立ち上がり探索の続きを行う事にした。
その直後、背後に強い殺気を感じ――

「んごほっ」
巨大な雪の塊が容赦なく頭部に叩きつけられた。
激痛と共に転げ回るあゆみ。
上下が反転した視界には、先程の愛らしい雪だるまは影も形も無かったのだった。

といった事があったら面白いよね、みたいな。

どうでもいいけど、この滑る氷のマップは面白いから好き。
この手のマップを見るといつもこおりのぬけみちって呼んでる。

滑る氷に戸惑いつつも、探索を進める。
あまりにも氷が滑るせいか、勢いで草むらに突っ込んでは情けない顔で起き上がる、という事を繰り返す羽目になっていた。

そんな中で見つけたのは、10体余りの敵影。
弱い相手大勢が相手ならば、苦痛を力に攻撃する黒魔術で一掃できる。
「よーし、憂さ晴らししてやるんだから」
と涙目のあゆみ。

「え、あれってさっきも出てきた……いやぁ!」
逃げようと思い背を向けると、魔物の力によって発生した雪崩により道は塞がっており、逃げる事すらかなわない。

そして運命は繰り返す……

さくっと進めるつもりだったんだけどね、イベントも含めて意外と死んだね、うん。

GET NAME TAGS

篠崎あゆみ x4(累計:449)